2014.01.24

兵庫旅行記④ 六甲枝垂れ

六甲山にある六甲枝垂れは建築家の三分一博志さん設計の展望台ですが、景色を見下ろすだけの物ではなく、六甲山の自然を1年中様々な形で感じる事のできる自然体験型展望台です。「山の上に立つ一本の大きな樹」というコンセンプトの通り、大きな幹のような建物中央部を廻るように配置された展望通路はヒノキと鉄のフレームで鋼製された「枝葉」が覆っています。この「枝葉」は木洩れ日のような光を取りいれたり、冬には空気中の水分が着氷する事によって樹氷と同じ現象を見る事ができます。夏には建物中央部にある「風室」にて、冬の間にできた氷を利用して「氷室」からの冷気を感じる事ができます。他にも自然の力や現象を感じる事のできる工夫が随所に施されていてよくよく観察すると面白い建物です。建物というよりは装置に近いかもしれません。環境設計を得意とする三分一さんのいかにして建築が地球の一部になるかをテーマとした「地球のディティール」を垣間見る事ができる展望台でした。

2014.01.23

兵庫旅行記③ 御影公会堂

時間があれば寄ろうか程度に思っていた場所ですが、丁度お昼時に通りがかり「御影公会堂食堂」の文字に導かれてしまいました。約80年前に建てられた公共建築です。ドラマのロケ地として何度か使用されているようで、最近だとNHK朝ドラの「ごちそうさん」で使われ、ジブリ映画の「火垂の墓」では空襲で焼け野原となった街にぽつんと残っていた光景が描かれているのだそうです。内外とも随分古びてはいましたが、市民にうまく活用されているようで、この日も人の声が響いていました。地下にある食堂は建物の外にある階段を降りて、錆びた鉄扉から薄暗い廊下を少し歩いた先にあります。予備知識もなく来たので少し不安になりましたが、勇気を出してお店にはいってみるとそこは光庭から入ってくる柔らかな光が気持ちのよい空間で、内装や家具も年季が入っていてどこか懐かしい雰囲気を感じさせる昭和レトロなお店でした。人気と書いてあったハヤシライスも美味しかったです。

2014.01.17

兵庫旅行記② 神戸ルミナリエ

阪神大震災から今日で丸19年が経ちました。
先月の旅行では、神戸を中心に兵庫県の色々な建築を巡る中で、阪神大震災の爪痕を散見しました。もちろん敢えて保存された爪痕ですが。そして、初めてルミナリエを訪れ、悲しみや痛みの記憶が今も深く残っている事を感じました。イルミネーションの眩い光と、賛美歌のような美しい音楽に包まれ、そこはまさに鎮魂の祈りの場でした。行くまではクリスマスイルミネーションくらいに思っていたのですが、随分違いましたね・・・。私たちのように観光客もいっぱいいるし、周りには屋台も出ているし、感じ方は人それぞれですが、こうして過去の災害や犠牲者に想いを馳せられる場所として意味あるものだと思いました。地域的にみれば数十年、数百年に一度でも、日本全体で見れば数年に1度かそれ以上、何かしらの災害が起こっています。それらの経験を生かして未来を作っていかなければ。災害に強い日本にならなければ。エネルギー問題も大事ですが、防災もね。

2013.12.30

兵庫旅行記① 箱木家住宅

日本に現存する最古の住宅と言われる、箱木家住宅を訪れました。どちらかというと夏に行くと良さそうな建築ですが、どうしても行きたくなり今回の旅行のメインでもありました。どーんと大きな茅葺屋根とずっしり分厚い土壁、簡素で美しいThe古民家です。700年も前の住宅と聞いてとてつもなく寒いのを想像していましたが、この日は割と温かく、靴下を2枚履いていった甲斐もあってそれほどでも有りませんでした。ふと住めそうな気がしましたが、建具はもちろん板戸でガラスは存在しないので、採光を求めれば寒風が吹き込み、温かさを求めれば真っ暗闇。厚着をし、囲炉裏で温まりながら寒さ暗さに耐えていたのでしょうね。軒先がとても低く、地面から150㎝ほど。屈まないと出入りできないこの低さは夏の日射を防ぐためでしょうか。茅葺屋根の断熱や土間の冷却効果など先人の知恵が発揮され夏は過ごし易そうです。母屋が出来た後、隣に離れが出来たり離れと結合したり、移転したりしていますが、その時代に合わせて守られてきたという事、何より700年という永い月日を耐えてきたという事実が驚きです。次は夏に訪れたいと思います。

PAGE TOP